【三上キャノン】月華媚人

　アクションピザッツのエース作家、三上氏の2022年単行本。
　キャラデから作話まで、濃すぎず、薄すぎず、深刻になりすぎないながら、おバカ過ぎもしない良い意味で完成された成人向けエロ漫画です。
　一部援交女子高生ものは御座いますが、一話完結式の短編の中に成人した男女の機微、微妙な恋愛戦略や愛憎をさりげなく織り込むストーリーも職人的な上手さを感じます。

　2021年2月から2022年6月号まで隔月に連載された9編を掲載。

・｢大人のおもちゃ」ラッキーすけべで複数の人妻の性玩具となる青年。
・表題作「月華媚人」前・後編は愛人契約した中年男性との関係を完了し、好きな男性と生活をはじめたものの…と言う元キャバクラ嬢の身体の揺らぎを描いた作品で、脂ぎった中年男性が徐々に主人公と同様魅力的に見えてくる業前に感心致します。
・「東ひなた被害者の会」援交で行為前に相手の財布を抜いて姿を消す少女ひなた。
　或る日も事に及ぼうとするひなたを被害者達が協力して…。
・「飛んで火に入る松能氏」イケメンバイトの松能くんに酔ってお持ち帰りされた美人バツイチ店長美由紀さん。
・「延長お願いします」女子高生コスプレ・デリヘル嬢を昔の教え子と知って指名した高校教師。説教するつもりだったが、デリヘル店の指名常連である事はバレバレで…。
・「嘘つきの顔」父親に彼女を寝取られている事を知った青年の微妙な心理描写が良い。
・｢緑荘のマリアさん」おんぼろアパートの雇われ管理人青年は、不具合な住人、金髪碧眼のマリアさんに仄かな憧れを。有る日、滞納した家賃の代わりに彼女が提案してきたのは…。
・「あまやどり」雨宿りでオタ崎宅に上がり込吉原は服を乾かす間、オタ崎に肉体を晒してからかうが、安パイと見くびっててオタ崎が発情。吉原は…。
　作者のあとがきと掲載誌情報付き。
　作品間には各話に関連したイラストが掲載されています。

　お薦めです。